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アドアーズ、日本介護福祉グループの事業強化、17年度売上高102億円


病院と大型介護施設に参入計画、人材の獲得・育成でケアマネ240人へ大幅増

2015/6/16

藤澤信義氏
藤澤信義氏
 アドアーズ(株)(東京都港区虎ノ門1-7-12、Tel.03-5843-8800)の取締役会長の藤澤信義氏は、2015~17年度を対象とする中期経営計画を発表した。介護事業を展開する(株)日本介護福祉グループの事業については、最終年度の17年度に売上高102億円、営業利益4億9000万円を目指し、「施設利用者の拡大」「人材の獲得、育成」のほか、病院や大型介護施設の展開などの施策に取り組む。

 アドアーズは、14年11月に日本介護福祉グループの全株式を取得。日本介護福祉グループは主に「茶話本舗」のブランドで通所介護事業の運営や、フランチャイズ展開などを行っている。施設数は直営48事業所、フランチャイズほか726事業所(5月12日時点)。

 14年度(15年3月期)は類似サービスを提供する他社との競争激化などにより、売上高6億6900万円、セグメント損失4800万円となった。これを踏まえ、15年度(16年3月期)から始まる中期経営計画では、(1)施設利用者の拡大による既存事業の収益強化および収益拡大、(2)介護人材の獲得、育成を目的とする有資格者を育成する教育機関(ケアカレッジ)の開設、(3)次世代介護サービスの仕組みづくりを行う。

 (1)では、気軽に相談ができる窓口を既存施設の近隣に設置することで利用者のニーズに応える。また、既存施設のサービス内容と質の見直しによるリピート率の向上、ニーズに合わせた介護施設の新設など、新事業の構築による収益の拡大を目指す。現在、ケアマネージャー事務所数5、ケアマネージャー数8人、通所介護施設数700の規模を、3年後にケアマネージャー事務所数120、ケアマネージャー数240人、通所介護施設数700まで引き上げる目標を掲げる。(2)では、自社教育訓練制度と外部から優秀な講師の招集、直営・フランチャイズの雇用創出、外部への人材紹介を見据えた事業の構築を予定。(3)では、超介護時代を見据え、介護の入り口となるデイサービスから病院、大型介護施設までを揃え、介護のワンストップサービスを展開し、利用者の付加価値を高め、収益のさらなる拡大を目指していく。

 こうした取り組みに対し藤澤氏は「将来的には病院を買って、病院やその周辺のビジネスも手がけたい。ケアマネージャーの育成など人材の育成や確保は、介護業界のテーマ。人材育成などを通じ、ゆくゆくは人材の派遣ビジネスなども展開できれば」と話し、通所介護の運営だけにとどまらない、幅広い事業の可能性を示した。

 初年度となる15年度は、利用者に選ばれる事業所づくりをモットーに、直営事業所ごとの介護力の向上と人材教育、人材確保や質の向上に伴う加算項目の取得など、稼働率向上と収益の回復を目指す。フランチャイズ事業でも個々の事業所の介護サービス力強化、「茶話本舗」ブランドの質向上に取り組む。また、自社の教育訓練制度を活用し、今後の人員不足に対応すべく、人材紹介を見据えた有資格者を育成する専門学校を開設する。直営とフランチャイズの介護人員を確保する仕組みを構築するなど「集客」「人材」の仕組みづくりにフォーカスした展開を図る。

 また、既存事業の強化に合わせ、ケアマネージャー、居宅支援事業所を積極的に採用、開設することで、利用者の声に根ざした施設づくり、今後の地域包括ケアシステムの実現に向けた新たな介護施設の構築など、短期的な収益、稼働の回復のみならず、将来の収益確保に向けた展開を図る。

 当中期経営計画中の介護事業の業績は、15年度が売上高35億円、営業損失2億4000万円、16年度が売上高70億円、営業利益1億6000万円、17年度が売上高102億円、営業利益4億9000万円を目標としている。

 中期経営計画の概要を説明したアドアーズ経営企画部長の杉原優子氏は、「介護事業を3年後に現在の不動産事業と同規模まで成長させていきたい。15年度にある程度投資を行うことで、16年度以降に積極的な展開ができる」とコメント。介護事業を同社の成長ドライバーに位置づけ、事業を拡大するとともに、利用者に質の高いサービスが提供できる仕組みづくりの構築を目指す。
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