―― ジャスダック上場おめでとうございます。
藤阪 上場企業としての社会的責任を改めて自覚しているところだ。知名度が高まったと感じており、これから優れた人材を採用していく意味でも、上場がプラスに働くと思っている。
―― 主力はアナログ電源ICですね。
藤阪 電圧レギュレーター、DC/DCコンバーター、電圧検出器が三本柱だ。特に小型化・超低消費電力技術に秀でており、専門家集団として小回りの利くサービスとソリューションの提案を心がけている。アナログ専業ファブレスとして電源周りをフルラインアップしていく方針で、これからはDC/DCやLDOから中・高耐圧分野にも打って出ていく。
―― 産機、車載、ウエアラブルを今後の注力分野に掲げています。
藤阪 産機と車載はここ数年、安定して伸びており、現状で売上高の35%を占めている。今年も来年も堅実に伸びるとみており、販売網の構築にもめどを立てた。ウエアラブルは当社の特色である小型化・超低消費電力を存分に生かせる市場であり、当社独自のパッケージであるUSP(Ultra Small Package)でも差別化しやすい。
―― 新製品の開発は。
藤阪 シリーズ製品として年間10本弱の開発ラインを走らせている。2014年度は特にウエアラブル系を意識した製品の立ち上げに特化しており、当社の強みをさらに高めた製品をリリースしていく。
―― 米国のパワー半導体メーカー、IXYSコーポレーションと相互販売契約を結びました。
藤阪 IXYS社は欧米市場で多くの顧客を抱え、そのほとんどが産機メーカーだ。IGBTを含めて高電流分野にも強い。当社との提携により、手薄だった日本市場で販売拡大が見込める。
一方、当社は欧米市場で2~3年後に相当な拡販効果が期待できる。すでにスマートフォンなどモバイル機器向けの電源モジュールでは実績があるが、IXYS社のMCU(ザイログなど)を活用した機器プラットホームで当社製品を含んだソリューション作りを進め、今後は共同開発を視野に、強みをさらに伸ばしたいと考えている。
―― 生産体制について。
藤阪 前工程は国内と海外で主に2社ずつをファンドリーとして活用している。海外のファブを使い始めてまだ3~4年だが、自社開発した専用プロセスでチップ性能の差別化を図っている。後工程はベトナムに自社工場を展開しており、USPを量産している。14~15年に増強投資を行い、段階的に能力を増やす予定だ。
―― 投資計画について。
藤阪 上場で得た資金をもとに、海外拠点との情報共有や効率化を主眼としたITインフラ投資、開発ツールの充実、ベトナム工場の強化、の3つに取り組む。ベトナムは月産4000万個の生産能力を持ち、すでに半分が実装済みだが、増強に向け着手する予定だ。
増強するのは、マイクロDC/DCの新製品「XCLシリーズ」を増産するためだ。XCLはコンバーターIC上にコイルを載せた一体型で、コイルとコンバーターを合わせた高さを1mmに抑えるため、コンバーターのパッケージに高さ0.4mmのUSP-6ELを新規開発して採用している。車載用にもニーズがあり、いま最も期待している製品の1つだ。
―― M&Aや提携についての基本方針は。
藤阪 あらゆる可能性を検討しており、積極的に取り組みたい。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年6月25日号1面 掲載)